私の田舎暮らし236 「私の失敗談(2)」
春野町で田舎暮らしをして今年の6月で13年目を迎えます。神戸で30年間会社勤めをし、定年後にこの地に家内と愛犬「タイちゃん」と3人で暮らしています。田舎暮らしをこれから始める方々に少しでも参考になればと思い、しばらく出来れば週一回(火曜日)に書かせていただきたいと思います。
【写真】軒下に薪が積まれた作業小屋
【写真】腐った部分が補修された柱の下部
(236)私の田舎暮らし 「私の失敗談(2)」作業小屋の柱(2)
この作業小屋は、見た目には本当にお粗末であるが、移住して数年、他の建屋が建つまでの間、物を収納したり、雨天の日に作業する場所としてよく用いられた。次第に色々な建屋が建つたびに、物が移され現在は、農具を主体にあまり使われないものなどがおかれている。今回、木工小屋(6畳の洋室と10畳の木工室)を立てる際には、大量の屋根板、床板、羽目板、壁板が必要であり、これを製材した後、保管する場所としても、作業小屋を用いた。また、この建屋の屋根のひさしを延ばす工事を行い、長さ5mの薪棚も作った。この薪棚は、薪を置くだけでなく、丈夫な壁として、また景観的にも作業小屋の外からの見栄えを良くした。
このように私にとって、開拓期の大変なときに苦労を共にしてきた作業小屋であるが、困ったことが分かってきたのである。それは、柱の部分で地中に埋めたところが腐り、そのままにしておくと柱が屋根の重荷に耐えることが出来ず、折れてしまう恐れがでてきたことである。建設当初は、将来のことを考えずに、早く小屋が欲しくて建てたのであるが、柱を地中に埋めれば、防腐剤を塗っても、将来腐ってくることは予想できたことであった。
対処方法としては、大きく分けて完全に建替えるか補修するかである。完全に建替える方法は工事が大変であることと、柱を除いて他は問題ないのでこの方法は採用しないこととした。補修方法としては、柱だけそっくり代える方法と柱の腐った部分のみ補修する方法がある。柱をそっくり返ることになるとかなり大変な工事になることが予想されるため、柱の腐った部分のみ補修する方法を採用することにした。色々補修方法を考えたすえ、写真に示す様に柱の腐った部分を取り除き、短くなった柱を両側から厚板で挟み、これをボルトで締め付け新しい柱とし、これをコンクリートブロックの上に乗せ、土と直接接触しないようにした。この厚板と古い柱の接触する部分は、古い柱の丸みを取り、厚板がしっかりと古い柱と接触させる必要があるため、チェーンソーで注意深く削る作業を行った。この作業は、私にとっては、これまでにログハウスを建て、チェーンソーでの細かい作業には慣れていたので、そんなに難しいな作業ではなかった。この後、厚板を木ネジで仮止めし、この二枚の厚板と柱をしっかり固定するために、金属ボルトを通す穴をドリルで二箇所開け、ボルトでしっかりと締め付けた。なおこの工事をするにあったては、古い柱を途中から切る前に別の臨時の柱を近くに立て屋根の重みをとることを行った。
この補修工事は、地面に近い部分で行い、スペース的にも狭いところもあったが、スムーズに進み、すべての腐った柱を補修することが出来た。この作業小屋は、私の処女作であり、技術的には、本当に未熟なときに必要に迫られて作ったものであり、我が家の他の建物と比べるとかなり見劣りがする。しかし私にとっては、この地に移住して、物置や作業場所がないときにそれを提供してくれた建物として、色々な思い出が詰まったものである。私の家に来られる方が、来るたびにこの補修部分を見て「僕はこれがとても好きです。味があっていいです」といってくれる。私も彼とは別の意味も含めて愛着があるのである。
続く
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