私は春野町で田舎暮らしをして今年の6月で8年目を迎えます。神戸で30年間会社勤めをし、定年後にこの地に家内と愛犬「タイちゃん」と3人で暮らしています。田舎暮らしをこれから始める方々に少しでも参考になればと思い、しばらく出来れば週一回(火曜日)に書かせていただきたいと思います。
【写真】春野の山々
(102)私の田舎暮らし 森林「森林を守る(浜松市森林林業ビジョン)-3」
浜松市の天竜川本流とその支流、都田川流域は、天竜林業と呼ばれる日本の先進林業地帯である。天竜林業地は「天竜美林」とも呼ばれ、奈良県の吉野林業地、三重県の尾鷲林業地とともに日本三大人工美林の一つに数えられ、その美しさとともに、良質な木材の産地として全国に名を馳せている。「天竜美林」の形成には金原明善の功績によるものが大きい。すなわち、明治期に金原明善は、天竜川の度重なる災害の根を絶ち、人びとの生活の安定と産業復興のために植林事業を行った。明善は「河を治めるには、山を治めること」との信念から、明治20年から静岡県磐田郡瀬尻(現在の龍山町瀬尻)の官林(今の国有林)の林相改良に着手、御料林約760haに292万本の献植をした。この献植を機に隣接する私有地1,200haにも401万本を植林した。明善とその門下生によって、治山・治水・利水などの公益性と木材生産の経済性をあわせ持つ天竜林業の礎が築かれたのである。
一方、森林を木材資源としてみると世界の木材市場には、最近大きな変化が見られる。すなわち東南アジアの各国から輸入される南洋材は、減少を続けている。今後は合板原料として南洋材を使うことは難しいと見込まれる。また、ロシアの森林資源は、世界の森林蓄積の21%を占める膨大な量である。ロシアから輸入されるエゾマツ、カラマツなどの北洋材は、これまでは安定的に供給されてきたが、中国や韓国の需要の伸びもあって価格が上昇している。一方、東欧、中近東などの国々では、木材の需要が高まっており、外材産地からの木材供給は、今後さらに逼迫すると予測される。こうした背景もあり、木材の需要側から日本国内の森林資源が注目されている。
浜松市の森林は、林業をとおした経済活動とともに、水資源の確保や山地災害の防止、療養や森林浴など保健・レクリエーション、景観や教育などの文化、さらには二酸化炭素吸収による地球環境の保全など、身近なところから地球規模に及ぶ多面的な働きを有している大切な資源である。
次回に続く
参考資料
浜松市森林・林業ビジョン
http://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/businessindex/shinko/forestry/vision/index.htm