私の田舎暮らし149 「田舎と都会の違い」:労働奉仕2

私の田舎暮らし149 「田舎と都会の違い」:労働奉仕2私は春野町で田舎暮らしをして今年の6月で10年目を迎えます。神戸で30年間会社勤めをし、定年後にこの地に家内と愛犬「タイちゃん」と3人で暮らしています。田舎暮らしをこれから始める方々に少しでも参考になればと思い、しばらく出来れば週一回(火曜日)に書かせていただきたいと思います。 


【写真】本線から民家に入る生コンで舗装された私道

(149)私の田舎暮らし 「田舎と都会の違い」:労働奉仕2

 春野町は浜松市と合併したが、その時に地域協議会が作られ、同時に自治センターも設置された。自治センターには、春野町内で使える予算があり、その中に「生コン費」と言う項目がある。これは春野町内の自治会が部落内の私道を舗装する場合、生コンを無償で支給するための予算である。私の部落でも本線から自宅に入る道は、この予算を利用して造られたものが多い。この生コンを使った道造りに参加したことがあるが、この仕事は拘束力のある「役仕事」ではなく、ボランティア的に行われ、幅約2m、長さ約30mほどの道を一日かけて生コンを流し、舗装を行った。この作業は、ウイークデーに行われたため、参加者は、「役仕事」の半分程度の人数であったが、夕方には、作業を終えることが出来た。素人が作った道であるので、決して業者が造った道のように見場はよくないが、実用上は何も支障がない立派な舗装された道が出来た。恐らくこれを業者に依頼すれば数十万円はかかると思われるが、一銭もかけずに完成できたのであるから驚くべきことである。この「生コン費」は、春野町が浜松市と合併する前からあった予算であるが、合併時にそのまま引き継がれたものである。
 このような予算は、都市では珍しいと思われ、都市では私道を舗装する場合には、すべて自己負担でやらなければならず、お金がある人はよいが、貧乏な人は必要な道でも舗装できないことになってしまうのだと思う。都市でも生コンは、自治体が無償で供給し、町民がボランティアで労働奉仕をすれば公園内の道とか側溝を自分達で造ることが出来ると思う。このようなことは単にお金の問題だけでなく、自分達の公園や側溝などを自分達の手で住民同士が協力して造ることに意義があるのだと思う。
 先週、このブログで紹介した信州の下條村でも当初は、「なんで自分たちが村道を作らなきゃいけないのだ」と不満の声が多かったと言う。けれどもある地域の人がやってみたら簡素だけども愛着のわく、よい道が出来た。それが突破口になって、「みなでよい村を作ろう」という村民の意識改革につながっていったという。都市に住んでいると、人に迷惑をかけたくないという意識が強く、またお金で済むことはお金で済ませたいと言う気持ちが先に働き、「自分たちで出来ることはできるだけ自分たちでしよう」と言う気持ちが例えあっても、なかなか表に出てこないのが実情なのではないかと思う。この先、世の中はますます核家族化し、地域活動も難しくなっていくと考えられるが、環境問題や資源の問題が大きくなっていくことは間違いない状況下で、「地方で出来ることは地方で」と叫ばれているが、もう一段ブレイクダウンして「地域で出来ることは地域で」の考え方が浸透していくと、本当の意味で血の通った住みやすい町が出来るのではないかと思う。春野町の地域協議会も二年後には廃止され、これに伴って自治センターもなくなることが決まっている。春野町が浜松市と合併したときに作られたこの制度が、市政の合理化の名の下に廃止されることは、過疎化が進むこの地にとってよいことであるかどうか、もう一度考え直す必要があると思う。


同じカテゴリー(私の田舎暮らし)の記事

この記事へのコメント
「タイちゃん」さん こんにちわ。
昨年は記事の連載 ご苦労さまでした。
今年もまた1年間よろしくお願い申し上げます。

近隣が協力して舗装道路を造られるとの事、その技術もさることながら、協力の風土があることは本当に素晴らしいと思います。
行政だけを頼りにせず、自分達でできることは自分達で、と頑張っている地方の話を聞くと、声援を送りたくなります。

しかし残念ながら、この近所ではなかなか出来ぬ相談だと思います!。
殆ど唯一の町内共同作業である、分別ごみ整理の集まりにも、或ることを理由に、頑として唯の一度も出てこない家庭もあります。(知性・教養ともに申し分ない人が・・・)

学校での行事に、一定時間の社会への勤労奉仕を組み入れる案があるやに聞いたことがありますが、とてもいいことだと思います。
しかしモンスターペアレントが納得しないでしょうね。

この正月帰省した長男の話ですが、学校に給食費不払い問題があって、失業中の家庭の児童かと思ったら、何と高級外車B車を乗り回している家庭であるとか。

公共心・・・どうなっているのでしょうかね。
Posted by 尾張仁 at 2010年01月12日 16:16
「尾張仁さん」こんにちわ。
私の部落は、戦後、開拓民として入植した人たちが大部分です。
従って、大変な苦労をみんなで協力しながらやってきた人たちですので、今でもその良き風習が自然な形で残っているようです。
ただ、高齢者が多くなり、労働奉仕に参加が難しい人が増えつつあることが心配です。
Posted by タイちゃん at 2010年01月13日 06:37
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

写真一覧をみる

削除
私の田舎暮らし149 「田舎と都会の違い」:労働奉仕2
    コメント(2)