私の田舎暮らし230 「オープンハウス」

私の田舎暮らし230 「オープンハウス」春野町で田舎暮らしをして今年の6月で13年目を迎えます。神戸で30年間会社勤めをし、定年後にこの地に家内と愛犬「タイちゃん」と3人で暮らしています。田舎暮らしをこれから始める方々に少しでも参考になればと思い、しばらく出来れば週一回(火曜日)に書かせていただきたいと思います。 
 【写真】ログハウス:二つの柱の間に丸太が落としこめられ、ログ壁が形成されている

(230)私の田舎暮らし 「オープンハウス 春野人めぐり(3)」

 今回の訪問者は、20代の女性Aさんとその友達と思われる赤ちゃん連れの女性3名。Aさんに「何に興味がありますか」と聞くと返ってきた言葉が「家作りです」であった。私は驚いて「どうしてですか」とおたずねすると「おじいちゃんがやっていました」であった。Aさんは、一目見たときから、堂々として、かつ生き生きとしていて仕事が出来そうな女性だと感じていたので、この受け答えを聞いて私の初対面の印象が間違っていないことを感じた。私は更に「どうしてここを知りましたか」と訊ねた。「私の同僚がここにお邪魔して、眺望も花壇もすばらしいから是非一度行ってみたら」ということであった。確かに一週間ほど前に我が家に来た青年がとても我が家に興味を示し、何度も「眺望がすばらしく花壇がいいと」言って帰っていったことを思い出した。

 ログを案内すると壁にかけてある様々の道具を見て、「わーすごい」と叫ぶ。私は、「ブリキ鋏だけでもこれだけの種類が必要です。例えばこのブリキ鋏は、刃が大きな波型になっていますが、これは波板トタンを切る鋏です」、「ふうーん」と感心した様子。また、「ログは丸太をどのように積んで固定するのですか」という質問、私は、丸太がうまくかみ合っていないところを示して「丸太の上に載るもうひとつの丸太にv字型の溝をチェーンソーで掘り、下の丸太にかぶせます。更にこのようにして積み上げた丸太が前後に倒れないように両側に柱を立て、この柱と丸太の切断面の両方に深さ30mmほどの溝を掘り、この溝にキーボードという幅60mmの厚板を入れて固定します。このようにすれば丸太は前後方向にも横方向にもしっかりと固定されます。また雨が横から吹きつけても、積み上げられた丸太の間に水が入ることがありません。こんなえらそうな説明を今はしていますが、実はこれに関しては、私は大失敗をしたんですよ」と打明ける。

 ほとんど丸太が積み終わった頃に、これまでにログハウスを何棟も建設してことがあるベテランの人が我が家に来ました。ログの壁を見ていて「あ、これは丸太の上下方向が反対だ」と叫びました。綺麗に整然とに丸太が詰まれていればこの発見は出来なかったのですが、幸いと言おうか丸太の組み合わせが悪く、接続部に大きな隙間がある場所があり、これを見て、こう叫んだのである。この人は、「この状態だと丸太の壁に吹き付けた雨が表面を流れ落ち、丸太に刻まれたグルーブ(V型の溝)に入り、しかもこの部分にシールのために入れられているグラスウールを濡らしてしまい、この部分がいつも水を含んでいるので、丸太が腐ってしまいます」と言うのである。私はこれを聞いて頭の中が真っ白になってしまった。三日ほど悩んだ末に、すべての丸太を摘み直すことにしたのである。作業は、丸太と充填材のグラスウールをすべて取り外し、丸太全体を上と下を真逆にし、丸太の間にはグラスウールを詰め直した。後ろ向きな作業の連続であった。「自分で蒔いた種だ、やるしかない」と頭の中で叫びながら。でも、もし、この人がこのタイミングで来ず、屋根の棟上が終わった後に来たらどうなっていただろ。もう仕様が無いから工事を進めてしまっただろう。その結果、グルーブに詰められたグラスウールがいつも湿っているため、2,3年でこの部分が腐ってしまい、どうしようもなくなってしまっていただろう。暴風のときに、積み上げられたログの壁を滴り落ちる水を見るたびに、「本当にタイミングよくこの人が来てくれたものだ」と思う。こんなことをこの女性に話すと、この人は、楽しそうに目をきらきらさせながら興味深そうに真剣に聞いていた。私ももう4年も前の話であるので、面白おかしく話せたが、当時は胃が痛くなるほどの事件だったのである。

 こんな調子で案内しているので、どうしても時間が長くなる。家に上がり薪ストーブを見てもらっている合間を見て、急いでトイレに行く始末であった。昼食の時間になり、「お腹がグーとなる」、でも次から次へと人が来る。「天気が悪いというのに」。家内を見ると、彼女も説明したり、御茶やお菓子を出すやらで、てんてこ舞いの様子。お互いに声をかける暇も無く案内を続ける。一組を送り出してもまだ数組残っている上に、また、「タイちゃん」がほえる。また一組来たようだ。 
                                次回に続く


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この記事へのコメント
全編を微笑とともに読了しました。
とても面白いブログでした。
挿入のエピソードも、読んでいて「良かったな。天の助けだったのだな」と思わされました。
もうひとつ、続々と詰めかけるお客に接待をなさっている奥さまのいそいそとした姿が想像されて、頬がゆるんでしまいました。
小生も見学に行きたくなってしまいました。
Posted by 大阪の住人 at 2012年01月10日 10:14
「大阪の住人さん」こんにちわ。
Aさんは、今回のオープンハウスに来られた方で最も若い方でした。
というよりも、私がこの地に来て、約10年になりますが、来た人で最も若い方だと思います。
この人が年明けに年賀状をくれましたがそれには「あこがれの暮らしを見せていただき、とても楽しい時間でした」と書かれていました。
私もこのように若い方が、我々の生活に興味をもっていただくことは大変うれしく思いました。
Posted by タイちゃん at 2012年01月10日 10:44
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